「パートを続けてきたけれど、そろそろ正社員になりたい」
「応募はしているのに、パートの求人しか通らない」
こんにちは、めくると申します。中小企業で採用の仕事を10年以上担当し、今も毎月50件ほどの履歴書に目を通しています。
パートから正社員を目指す方の書類を見るとき、私が最初に探すことがあります。
「なぜ、この方は今から正社員を希望するのだろう」
ここが書かれている履歴書と、書かれていない履歴書があります。そして通りやすいのは、はっきり書かれているほうです。
理由は次でお話しします。
採用側は「なぜ今から?」を必ず考えます
意地悪な意味ではありません。確認しておかないと、お互いに困るからです。
パートで働いてきた方が正社員に応募してくると、採用側の頭にはこういうことが浮かびます。
- これまでパートを選んできたのには、理由があったはず
- その理由は、もうなくなったのだろうか
- フルタイムになって、本当に続けられるのだろうか
つまり、疑っているのではなく、事情が変わったのかどうかを知りたいのです。
ここが書かれていないと、採用側は判断できません。そして判断できないものは、低く見積もられます。
逆に言えば、一行で解決します。
「事情が変わった」を書いてください
もったいない書き方の代表がこれです。
もったいない例
「これまでパートとして勤務してまいりましたが、正社員として腰を据えて働きたいと考え、応募いたしました。」
丁寧な文章ですし、悪いところは何もありません。ただ、なぜなのかが書かれていません。
読んだ側には「そうなんですね」としか解を出しにくい文章です。
直した例
「これまでは子どもが小さく、短時間の勤務を選んでまいりました。今春に下の子が小学校に上がり、平日の終日勤務が可能になりましたので、これからはフルタイムで長く勤めたいと考えております。」
変わったのはたった一点です。「なぜ今なのか」が入っただけ。
これで採用側は「ああ、そういう事情だったのか」と納得できます。納得できれば、次は仕事の中身を見てもらえます。
事情は人によって違います。こういう書き方が使えます。
- 「子どもが小学校に上がり、平日の終日勤務が可能になりました」
- 「家族の介護が一段落し、フルタイムでの勤務が可能になりました」
- 「配偶者の勤務先が変わり、生活の時間帯を合わせる必要がなくなりました」
詳しく書く必要はありません。「以前はこうだった、今はこう変わった」が分かれば十分です。
フルタイムで働ける体制を、先に見せる
ここは、書いてある履歴書がとても少ないところです。
採用側が心配しているのは、「フルタイムで働き始めたあと、続けられるか」です。
パートから正社員になると、勤務時間が伸びるだけでなく、急な残業や、子どもの行事との調整も出てきます。そこが回らなくて早期に辞めてしまう方を、採用側は見てきています。
だから、体制が整っていることを自分から書いてください。
直した例(本人希望欄)
「子どもは学童保育を利用しており、18時までの勤務が可能です。急な発熱時は同居の家族が対応できる体制を整えております。」
保育や学童の手配、家族の協力。すでに用意してあることを一行書くだけで、採用側の心配はほとんど消えます。
書いていないと、面接で必ず聞かれます。先に書いてあれば、その時間を別の話に使えます。
パートを続けてきたこと自体が、強みです
ご自分では気づいていない方が多いのですが、パートで働き続けてきたことには、はっきりした価値があります。
- 働いていない期間がない。仕事の勘も、生活のリズムも保たれています
- 職場での立ち居振る舞いが身についている。報告・連絡・相談が自然にできます
- 続けられる人だと分かる。何年も同じ職場で働いてきた事実が、それを証明しています
採用の場面で、続けてきた人は強いです。 短期間で辞めた履歴が並ぶ方より、ずっと安心して読めます。
ですから、パート勤務を「大したことはしていない」と縮めて書かないでください。年数はそのまま、堂々と書きましょう。
責任を負ってきた方は、その中身を書いてください
パートだからといって、簡単な仕事しかしていないとは限りません。
超がつくほど優秀で、長年その職場を回してきたパートの方を、私は何人も見てきました。社員より現場を分かっている、という方も珍しくありません。
こういう経験がある方は、必ず書いてください。
- 売上の一部を担っていた(担当した売り場、担当したお客様など)
- ノルマがあり、達成してきた(件数・金額・継続率など)
- 社員が不在のときに、判断や対応を任されていた
- 新人の教育や、シフトの調整を任されていた
「パートだったので」と前置きする必要はありません。任されて、やってきた事実をそのまま書けば十分です。
責任を負ってきた方は、正社員になってからの姿も想像しやすくなります。ここが書いてあるかどうかで、読む側の受け取り方は大きく変わります。
志望動機で「安定」を前に出さない
正社員を目指す方の志望動機で、いちばん多いのがこれです。
もったいない例
「収入を安定させたく、また賞与や社会保険、福利厚生などの待遇面も整っている正社員として働きたいと考えております。」
正直な気持ちですし、生活がかかっているのですから当然です。本当の動機がこれであることは、何の問題もありません。
ただ、書く文章としては損をしています。理由は、待遇が目的だと思われるからではありません。
賞与も社会保険も、正社員の求人であれば、どこでもだいたい同じだからです。
社会保険は条件を満たせば加入するもので、法律で決まっています。賞与も、制度がある会社なら業績に応じて出ます。どこか一社だけの特長ではありません。
つまり、これを書いても「なぜこの会社なのか」の答えにならないのです。他社の求人にそのまま貼り付けても通用してしまう文章は、読む側の記憶に残りません。
お気持ちとしては、「これまでの働き方では得られなかったから、そこを求めている」ということだと思います。それはごく自然なことです。
ただ、採用側から見ると、この会社を選んだ理由が最後まで分からないままになってしまいます。
気持ちはそのままで、順番だけ変えます。
直した例
「販売職として6年間、パートとして勤務してまいりました。発注と在庫管理を任せていただくうちに、店舗全体の売上に関わる仕事にもっと深く携わりたいと考えるようになりました。責任のある立場で長く働きたいと思い、正社員としての応募を決めました。」
待遇の話は一言も書いていません。それでも、この方が正社員になりたい理由は十分に伝わります。
「安定がほしい」ではなく「もっと任されたい」。 同じ気持ちの言い換えですが、読む側の受け取り方はまったく変わります。
待遇を志望動機に書くときの考え方は、こちらの記事にあります。
責任が重くなることを、分かっていると示す
もう一つ、書いてあると強いことがあります。
正社員になると、パートのときとは求められるものが変わります。
- 決まった時間で帰れないことがある
- 判断を求められる場面が増える
- 異動や担当替えの可能性がある
- 後輩の指導を任されることがある
採用側が知りたいのは、この違いを分かったうえで応募しているかです。
「正社員のほうが安定しているから」だけで来た方は、責任の重さに驚いて辞めてしまうことがあります。それを何度か見ているので、慎重になります。
だから、こう書ける方は強いのです。
直した例
「パートとして勤務する中で、社員の方が担当されていた発注業務や新人の指導も任せていただくようになりました。責任のある仕事にやりがいを感じており、正社員として、より広い範囲を担当したいと考えております。」
すでに責任のある仕事をしてきた事実を書くことで、「分かって応募している方だ」と伝わります。
退職理由は「正社員になりたいから」で大丈夫です
「今の職場を辞める理由を、どう書けばいいか」という悩みをよく聞きます。
正社員を目指しての退職は、そのまま書いて問題ありません。 むしろ、前向きな理由として読まれます。
直した例(職歴欄)
20〇〇年4月 〇〇株式会社 入社(パートタイマー)
20〇〇年3月 正社員としての勤務を希望し、退職
気をつけたいのは、今の職場の不満を書かないことです。「正社員登用の制度がなかった」「評価してもらえなかった」と書きたくなることがあるかもしれませんが、読む側には不満を言う方という印象だけが残ります。
事実として制度がなかったのだとしても、「正社員として働きたいため」とだけ書けば十分です。
今の職場で正社員登用を目指す道も模索してください
ここまで、別の会社へ応募する前提でお話ししてきました。ただ、今の職場で正社員になるという道もあります。
すでに仕事を覚えていて、人間関係もできている。この強みは、外から応募するより大きいです。
目指すなら、やっておくとよいことがあります。
- 正社員登用の実績があるか確認する(制度の有無ではなく、実際に登用された人がいるか)
- 希望を口に出しておく。言わないと、そもそも候補に入りません
- 社員がやっている仕事を、少しずつ引き受ける。判断材料になります
ひとつだけ、心構えを。「制度はあるが、実際にはほとんど登用されない」という職場もあります。
期待しすぎず、「あればラッキー」くらいに構えておくほうが気持ちが楽です。そして、登用を待ちながら、外の求人も見ておく。この両構えが、いちばん消耗しません。
登用されなくても、そこでの働き方は無駄になりません
ここが大事なところです。
社員の仕事を引き受け、責任のある役割をこなしてきた。その事実は、たとえその職場で正社員になれなかったとしても、そのまま履歴書に書けます。
直した例
「パートとして勤務しながら、社員と同様の業務を担当できるよう努めてまいりました。発注業務と新人教育を任せていただき、社員の不在時には店舗の判断も担当しておりました。」
これは、外の会社に応募するときの強いアピールになります。
登用されるかどうかは会社の事情で決まりますが、そこで身につけたものは自分のものです。 どちらに転んでも前に進める形にしておく、と考えてください。
今日のチェックポイント
ご自分の履歴書を、この6つで確認してみてください。
- 「なぜ今、正社員なのか」が書いてあるか(事情がどう変わったか)
- フルタイムで働ける体制が整っていることを、自分から書いたか
- パート勤務の年数を、縮めずに書いたか
- 志望動機が「安定がほしい」ではなく「もっと任されたい」になっているか
- 責任が重くなることを分かっていると伝わるか
- 退職理由に、今の職場への不満を書いていないか
パートで働き続けてきたことは、決して回り道ではありません。
その年数は、そのまま「続けられる人」という証明になります。 あとは、なぜ今なのかを一行足すだけです。


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