「最後に働いたのは10年前。今さら雇ってもらえるところなんてない」
「ブランクの欄に何を書けばいいのか分からなくて、応募のボタンが押せない」
こんにちは、めくると申します。中小企業で採用の仕事を10年以上担当し、今も毎月50件ほどの履歴書に目を通しています。
最初にお伝えしたいことがあります。
採用側が見ているのは、ブランクの長さそのものよりも、そのブランクを履歴書でどう説明しているかです。
もちろん、職種や求人の事情によっては期間の長さを気にすることもあります。
ただ、私の実感として、落ちてしまう原因が「10年空いていたから」だけということはめったにありません。それよりも、書き方で損をしている方が本当に多いのです。
空白のまま出してしまう。聞かれるのが怖くて短く書いてごまかす。そして志望動機で、条件の話から入ってしまう。
ここを直すだけで、通る確率は目に見えて変わります。
この記事では、10年のブランクから応募する方の履歴書を、上から順に一緒に整えていきます。
ブランク10年は、思っているほど不利ではありません
まず、採用側がブランクをどう見ているかをお話しします。
私が書類を見ていていちばん安心するのは、「昔やっていた仕事に戻ってくる方」です。たとえば事務を11年経験して、10年のブランクを経てまた事務に応募してくる。このパターンは、本人が思っている以上に強いです。
理由は単純で、体が覚えているからです。
電話の取り次ぎ方、来客への対応、書類の扱い方。ブランクがあっても、一度身についた仕事の勘は思ったより残っています。
採用側も「最初の1か月で思い出してもらえればいい」と考えられるので、ハードルがぐっと下がります。
逆に、まったくやったことのない職種に飛び込むと、同じ仕事量でも疲れ方が違います。慣れないことは、それだけで体力を使うのです。
もし応募先を迷っているなら、こう考えてみてください。
- 経験したことのある仕事 → まずここに応募する
- やってみたい未経験の仕事 → 復帰して慣れてから、できる範囲を広げていく
「10年前の経験なんて古くて役に立たない」と考えて、わざわざ未経験の職種ばかり選んでいる方がいます。とてももったいない選び方です。まずは、経験のある仕事に絞って応募してみてください。
念のためお伝えしますが、これは「未経験の仕事はやめておきましょう」という意味ではありません。
未経験でも、これまでの経験を応募先の仕事に結びつけて書けば十分に通ります。
お伝えしたいのは順番の話です。経験のある職種が手元にあるなら、まずはそちらから。
ブランク明けの一社目は、通りやすく、しかも復帰後の疲れが少ないところを選んだほうが、その後が続きます。
職歴欄:ブランクを空白のままにしない
いちばん多い、そしていちばん惜しいのがこれです。
もったいない例
20〇〇年4月 〇〇株式会社 入社
平成〇〇年3月 同社 退職
以上
退職から今日まで10年、何も書かれていません。書いた方に悪気はなく、「書くことがないから」なのですが、読む側からするとこう見えます。
- この10年、何をしていたんだろう
- 体調を崩していた期間があるのだろうか
- 働く意思はどのくらいあるのだろうか
分からないことは、こちらで想像するしかありません。そして採用の場面では、分からないものは低く見積もられます。これが本当にもったいない。
もうひとつ、この例で気づいてほしいことがあります。
年号が「20〇〇年」と「平成〇年」で混ざっています。 ご自分の履歴書も見てみてください。これは本当によくあります。
西暦でも和暦でもかまいません。ただ、書類の中ではどちらかに揃えてください。混ざっているだけで、読みにくい書類になってしまいます。
直し方はとても簡単で、空白の期間に一行足すだけです。
直した例
20〇〇年4月 〇〇株式会社 入社
20〇〇年3月 一身上の都合により退職
退職後は家庭の事情により就業しておりませんでしたが、
20〇〇年〇月より就業可能となり、事務職への復帰を目指しております
以上
たった数行ですが、読む側の頭の中は「不明」から「事情があって離れていた人が、今は働ける状態で戻ってきた」に変わります。この差はとても大きいです。
書き方のコツは3つだけです。
- 理由は詳しく書かなくていい。「家庭の事情により」「育児のため」「家族の看護のため」程度で十分です。
- 今は働ける状態だと分かるように書く。ここがいちばん大事です。
- 仕事の中身は書かない。「電話応対を担当」といった業務内容は職歴欄ではなく、職務経歴書に書きます。
ブランク中のことは、無理に飾らなくて大丈夫
「ブランク中に何かアピールできることを書かないと」と考えて、無理に資格の勉強や在宅ワークの話を作ろうとする方がいます。その必要はありません。
私が知りたいのは、立派な自己研鑽の記録ではなく、「今、働ける状態かどうか」だけです。
もし書けることがあるなら、こんな内容で十分です。
- 「育児が一段落し、来月より終日勤務が可能です」
- 「PTAの会計を2年担当し、パソコンでの集計作業を行っておりました」
- 「昨年〇月にパソコン教室に通い、ワード・エクセルの基本操作を学び直しました」
派手さはいりません。「ブランクはあったけれど、働く準備は済んでいますよ」ということが伝わればいいのです。
志望動機:条件の話から入らない
ここが、いちばん惜しい人の多いところです。
もったいない例
「子どもが小学生になり、これから長く働ける環境を探しています。
土日祝がお休みで、時短勤務の制度も整っている貴社であれば、家庭と両立しながら安心して働けると思い、応募いたしました。」
正直に申し上げると、この気持ちはまったく自然なものです。私も同じ立場なら、条件は真っ先に確認します。本当の動機がこれであることは、何の問題もありません。
ただ、履歴書に書く文章としては損をしています。理由は2つです。
ひとつは、土日祝の休みも時短勤務も、その条件がある会社なら、どこでも同じだということ。
時短勤務は育児や介護の場面では法律で定められた制度ですし、土日祝が休みの会社はいくらでもあります。この会社だけの特長ではありません。
つまり、これを書いても「なぜこの会社なのか」の答えにならないのです。他社の求人にそのまま貼り付けても通ってしまう文章は、読む側の記憶に残りません。
もうひとつは、あなた自身の説明が一行も入っていないことです。
同じ求人には、ほかにも応募者がいます。その方が「自分はこの会社でこう役に立てます」と書いていたら、採用側はそちらを選びます。
特別な理由があるからではなく、働いている姿がイメージできるのがそちらだけだからです。
気持ちはそのままで、書き方だけ変えてみます。
直した例
「以前は一般事務として11年間、電話応対と請求書の作成を担当しておりました。
出産を機に退職し家庭を優先してまいりましたが、子どもの手が離れましたので、これからはフルタイムで長く腰を据えて働きたいと考えております。
地域に根ざした貴社で、以前の事務経験を活かしながら、着実に業務をお任せいただける存在になりたいと思い応募いたしました。」
書いてあることの順番を変えただけで、中身の希望はほとんど同じです。それでも読む側の受け取り方はまったく変わります。
順番はこう覚えてください。
- これまで何をしてきたか(経験)
- なぜ今、働ける状態なのか(ブランクの説明)
- この会社でどう役に立てるか(貢献)
条件の話は、ここには書きません。書く場所はきちんと別にあります。次でお話しします。
本人希望欄:条件はここに、頻度まで書く
「休みの希望を書いたら落とされるのでは」と心配して、何も書かずに出す方がいます。実はこれ、お互いにとっていちばん困る書き方です。
採用してから「実は月に3回はお休みをいただきたくて」となる方が、企業にとってはずっと困ります。条件は、隠すのではなく、本人希望欄に正直に書くのが正解です。
このとき大事なのが、頻度を書くことです。
もったいない例
「子どもの学校行事の際は休みをいただきたいです。」
これだけだと、採用側は最悪のケースを想像します。月に何回だろう、急に休まれるのだろうか、と。
直した例
「子どもの学校行事のため、年に4〜5回程度、平日にお休みをいただきたく存じます。
日程は年度初めに分かりますので、早めにご相談いたします。
それ以外は勤務可能です。」
「年に4〜5回」「日程は事前に分かる」「それ以外は勤務可能」。
この3つが入っているだけで、受け入れる側は自分の職場のシフトに当てはめて考えられるようになります。
想像で不安になるのと、具体的に計算できるのとでは、判断がまるで違います。
書いておくと親切な条件の例です。
- 勤務可能な曜日と時間帯(「月〜金 9:00〜16:00 勤務可能」)
- お休みが必要な回数と、事前に分かるかどうか
- いつから働けるか(「〇月〇日より就業可能」)
正直に書くと、応募先は少し減ります
ここは正直にお伝えしておきます。条件を書けば、書かない場合より応募が通る数は減ります。 「月に数回休まれると回らない」という職場は実際にありますし、そこは書類の時点で見送りになります。
それでも私が「書いてください」とお伝えするのは、隠して入ったときのほうが、あとで苦しくなるからです。
入社してから休みを言い出せずに、体調を崩したり、結局早く辞めてしまったりする方を何人も見てきました。
条件を書いて落ちたのなら、それはその職場と合わなかっただけです。時間を無駄にせずに済んだ、と考えてください。
どうしても書きにくいときは
「書いたら不利になる気がして、どうしても手が止まる」という方もいると思います。その場合は、こういう順番でも構いません。
- 履歴書の本人希望欄には勤務可能な曜日・時間帯だけを書く(「月〜金 9:00〜16:00 勤務可能」)
- 休みの希望は、面接で必ず自分から伝える
大事なのは「書くか書かないか」ではなく、採用が決まる前に伝わっているかどうかです。
面接で伝えるのであれば、聞かれるのを待たずに、こちらから切り出してください。
ここでも、頻度と「事前に分かるかどうか」をセットで伝えるのは同じです。
パートの経験は、堂々と職歴に書いてください
「短期のパートだから書かなくていいかな」と省略してしまう方がとても多いのですが、書いてください。ブランクを埋める材料であり、立派な職歴です。
とくに、パートから正社員や契約社員に登用された経験がある方。これは大きなアピール材料です。会社が「この人には長く続けてほしい」と判断した証拠だからです。
もったいない例(履歴書の職歴欄)
20〇〇年4月 〇〇店 パート勤務
20〇〇年3月 退職
登用されたことが、どこにも書かれていません。
直した例(履歴書の職歴欄)
20〇〇年4月 〇〇店 入社(パートタイマー)
20〇〇年4月 契約社員として登用
20〇〇年3月 一身上の都合により退職
雇用形態が変わったことは経歴そのものなので、職歴欄に書いて大丈夫です。
ただし、なぜ登用されたのか、何を担当したのかは、ここには書きません。それは職務経歴書の役割です。
職務経歴書の例
〇〇店(20〇〇年4月〜20〇〇年3月)
パートタイマーとして、レジ業務・在庫管理・発注業務を担当。
正確な在庫管理を評価いただき、20〇〇年4月に契約社員として登用。
以降は、パート社員5名のシフト作成も担当しました。
「評価いただき登用」の一行があるかないかで、読む側の受け取り方は変わります。実際にそういう経緯があったなら、遠慮せずに書いてください。自慢ではなく事実の説明です。
なお、レジ締めや在庫管理、シフト作成は、事務職の仕事と地続きです。「パートだから大したことはしていない」と思っている作業が、応募先では立派な経験として評価されることは珍しくありません。
写真:「オフィスで働く自分」に見えるか
最後に、写真の話をひとつ。
ブランクの長い方の履歴書で、写真だけが惜しいというケースがよくあります。
- 自宅で私服のまま撮影している(背景に部屋が写っていることもあります)
- 前髪を高く盛った髪型のままになっている
- 髪が長く、下ろしたままで顔が半分隠れている
- 逆光で顔が暗く写っている
写真で人柄を判断しているわけではありません。ただ、採用側は書類を見ながら「この人が職場にいる場面」を想像しています。私服の写真は、その想像を助けてくれないのです。
やることは3つだけです。
- 襟のある服(白いブラウスやシャツに、黒や紺のジャケット)
- 髪が長ければ後ろでまとめる、前髪は眉が見える程度に
- 明るい場所で、正面から。逆光を避ける
写真館でなくてもかまいません。駅などにある証明写真機で十分です。「オフィスで働いている自分」に見えるかどうか、それだけを基準に選んでください。
応募する前に、もうひとつだけ
ここまで読んで、「そもそも自分に何が書けるのか分からない」と感じた方もいるかもしれません。10年も離れていれば当然のことです。
そんなときは、いきなり志望動機を書こうとせず、先に紙に書き出すことをおすすめします。
- 前の職場で、毎日やっていた作業をすべて書き出す(小さなことほどいい)
- 人から「ありがとう」と言われたこと、任されていたことを思い出す
- パート・PTA・地域の役員など、仕事以外で担当したことも書き出す
この中に、必ず応募先とつながる材料があります。志望動機は、そこから選んで組み立てれば大丈夫です。
今日のチェックポイント
ご自分の履歴書を、この6つで確認してみてください。
- 年号が西暦と和暦で混ざっていないか(どちらかに揃えたか)
- 職歴欄のブランク期間が空白のままになっていないか(一行足したか)
- 「今は働ける状態です」と分かる書き方になっているか
- 志望動機が、条件の話ではなく「これまでの経験」から始まっているか
- 休みや勤務時間の希望を、本人希望欄に頻度まで書いたか
- パート経験や登用された経験を省略していないか
- 写真は「オフィスで働く自分」に見えるか
ブランクは、消さなくていいのです。説明すればいいだけです。
10年働いていなかった事実は変えられませんが、その10年をどう伝えるかは、今日この場で変えられます。応募のボタンを押す前に、ひとつだけでも直してみてください。


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