「経験はあるのに、書類で落ち続けている」
「結局、年齢で切られているのだろうか」
こんにちは、めくると申します。中小企業で採用の仕事を10年以上担当し、今も毎月50件ほどの履歴書に目を通しています。
年齢の壁は、あります。
ただ、壁の高さは会社ごとにまったく違いますし、履歴書の書き方で越えられる場面もあります。
この記事では、50代の方の履歴書について「書くべきこと」と「書かない方がいいこと」を、順にお話しします。
年齢の壁は、会社によってまったく違います
求人票に年齢の条件を簡単には書けない時代になりました。それでも、選考の場面で年齢が意識されないかというと、そんなことはありません。
ただし、その高さは一定ではありません。
50代が歓迎される職場
- 若い人がすぐ辞めてしまい、落ち着いて長く勤めてくれる人を探している職場
- 顧客の層に若い人がおらず、若すぎると顧客から頼りなく見えてしまう職場
- 一人でも回せる人が欲しく、手取り足取り教える余裕がない職場
「20代・30代では若すぎる」と考えている会社は、思っているより多いです。
逆に、敬遠されることがある職場
- 教える立場の社員が20代・30代で、年上の後輩に指示を出しにくい先輩がいる職場
- 「後輩なのに、先輩より先に定年が来てしまう」と考えてしまう職場
- 一から教える前提で採用を考えている職場
これはあなたが悪いのではなく、受け入れる側の現実的な事情です。
そして厄介なことに、どちらのタイプの会社なのかは、求人票からは分かりません。
だからこそ、お伝えしたいことが2つあります。
ひとつは、落ちても引きずらないこと。相性の問題である割合が、想像よりずっと高いです。
もうひとつは、落ちるたびに履歴書を少しずつ直して、次に活かすこと。同じ書類のまま出し続けるのが、いちばんもったいない。
書くべきこと1:「これはすぐにできます」をはっきり書く
50代の方を、一から教える前提で採用する会社は多くありません。
これは能力の話ではなく、教える側の体力と時間の問題です。
裏を返すと、「この仕事なら、入社してからすぐに任せられそうだ」と思える履歴書は、年齢に関係なく強いということです。
ところが、その肝心の部分がぼんやりしている履歴書がとても多いのです。
もったいない例
「長年の事務経験を活かし、貴社に貢献したいと考えております。パソコンも使用できます。」
「長年」が何年なのか、「事務」で何をしていたのか、「パソコン」で何ができるのか。ひとつも分かりません。
読む側は、想像で補うしかなくなります。そして採用の場面では、分からないものは低く見積もられます。
直した例
「一般事務として18年間、請求書の作成と入金確認、電話応対を担当してまいりました。エクセルは関数(SUM・IF・VLOOKUP)を使った集計表の作成まで、ワードは案内文書の作成まで対応できます。」
長さはほとんど変わりません。それでも、読んだ側が「うちの請求業務なら、すぐ慣れてもらえそうだ」と考えられるようになります。
パソコンスキルは「何を、どこまで」で書く
50代の方の履歴書で、とくにもったいないのがここです。
「パソコンできます」「エクセル可」とだけ書いてある。これでは、採用側は判断できません。
- 文字が打てる程度なのか
- 表を作って合計が出せるのか
- 関数を組んで集計表を作れるのか
- 人が作った表を、崩さずに直せるのか
ここには大きな差があります。できることを、できる範囲まで正直に書いてください。
「VLOOKUPは使ったことがありませんが、SUMとIFは日常的に使っていました」——こう書いてある履歴書は、むしろ信用されます。できないことを書ける方は、できると書いたことも本当だろう、と読めるからです。
書けることが少なそうなときは、「自分で調べられる」を書く
「実務で使ったと言えるものが、ほとんどない」という方もいると思います。その場合は、覚え方のほうを書いてください。
直した例
「知らない関数もありますが、自主的に検索して調べ、業務に活かすことができます。前職では、月末の集計に時間がかかっていたため、自分で調べて表計算の関数を組み、作業時間を短縮しました。」
採用側が50代の方に対して気にしているのは、「教えないと動けないのか、自分で調べて進められるのか」です。
スキルの一覧そのものより、自分で調べて身につけていける人だと分かることのほうが効きます。ここは、書けている方が意外と少ないところです。
書くべきこと2:役職経験は書く。書き方は求人の中身で変える
「部長まで務めたけれど、書くと敬遠されそうで迷っている」——これはよくあるお悩みです。
役職経験は書いてください。
とくに、応募先が最初から役職者のポジションを探している場合、これ以上ないアピールになります。まとめる立場を任せられる人は、中小企業ではいつも足りていません。
実務者を募集している求人では、ひとこと足す
問題になるのは、応募先が「手を動かす人」を探している場合です。
このとき採用側の頭には、こういう考えがよぎります。
この役職を経験しているなら、実務はしばらくやっていないよね?
自分では手を動かせない人なんじゃないか?
これで不採用になることが、実際にあります。役職経験そのものが悪いのではなく、「今も自分で手を動かせる」ことが書かれていないのが原因です。
もったいない例
「経理部長として、部門全体の統括および部下15名のマネジメントを担当してまいりました。」
立派な経歴です。ただ、実務者を募集している会社が読むと、「うちが今お願いしたい入力作業や月次の締めは、この方にお願いできるのだろうか」で止まってしまいます。
直した例
「経理部長として部門を統括し、部下15名のマネジメントを担当してまいりました。あわせて、月次決算の全数ダブルチェックを自ら行っており、実務も担当者と遜色なく対応できます。税制改正の情報は常に自分で収集しておりますので、実務にはすぐ馴染めると考えております。」
役職の話は消していません。そのうえで「今も自分で手を動かせる」を足しただけです。この一文があるかないかで、書類の通り方は本当に変わります。
ひとつだけお願いがあります。やっていないことを書くのは絶対にやめてください。
面接で必ず具体的に聞かれますし、入社後にいちばん困るのは自分自身です。足していいのは、実際にやっていたのに書いていなかったことだけです。
書くべきこと3:あと何年働けるかを、自分から書く
さきほど「後輩なのに自分より先に定年が来る」という採用側の事情をお話ししました。
この懸念には、こちらから先回りして答えることができます。
直した例(本人希望欄)
「定年まであと7年ございますが、その後も再雇用などの形で長く勤めさせていただければと考えております。健康状態は良好で、直近5年間、病気による欠勤はございません。」
聞かれる前に書いてあると、それだけで安心されます。
採用側が知りたいのは「何年いてくれるか」であって、年齢そのものではありません。答えを書いてしまえば、質問は消えます。
書くべきこと4:「自分が」ではなく「この職場が」の一言を足す
これは、もう一歩踏み込みたい方へのお話です。
自己PRは、自分を主語にした文章になりがちです。
もったいない例
「これまでの経験を活かし、一日も早く戦力になれるよう努力いたします。新しいことにも積極的に挑戦していきたいと考えております。」
悪い文章ではありません。ただ、20代の方が書いても通用する内容で、50代の方にしか書けないことが入っていません。
50代の方だけが書けることがあります。それは、職場そのものをよくする視点です。
直した例
「これまでの経験を活かし、早期に業務を担当できるよう努めます。あわせて、前職では担当業務の手順書を作成し、後任者が迷わず引き継げる状態を整えてまいりました。貴社でも、自分が担当するだけでなく、後から入る方が困らない形に整えていければと考えております。」
後進を育てる。手順をまとめる。人が入れ替わっても回る形にする。
これは、長く働いてきた方だからこそ書けることです。そして中小企業では、この視点を持っている人が本当に足りていません。
書かない方がいいこと
ここまでの逆で、書かないほうがいいものを挙げます。
「何でもやります」
意欲を示すつもりの一文ですが、読む側には「何ができるか分からない」と伝わります。
できることを書くほうが、ずっと強いアピールになります。
昔の実績を、そのまま並べること
「最盛期には年商〇億円の部門を担当」——書きたくなるお気持ちは分かります。
ただ、応募先が小さな会社の場合、規模の話は響きません。それどころか「うちでは物足りないだろう」と思われて、遠慮されてしまうことがあります。
数字を書くなら、応募先の仕事とつながる数字を選んでください。
もったいない例
「最盛期には年商8億円の部門を統括し、新規事業の立ち上げにも携わってまいりました。」
直した例
「月におよそ400件の請求書処理と、取引先120社分の入金確認を担当しておりました。」
規模の数字は「すごい方だ」で終わってしまいます。
一方、毎日どれくらいの量をさばいていたかの数字なら、採用側が自分の会社の仕事に置き換えて考えられます。「うちは月100件くらいだから、十分お願いできそうだ」という具合です。
写真は、口角だけ意識してください
最後に、写真の話をひとつだけ。
50代の方の履歴書を見ていて、いちばんもったいないのがこれです。
まじめに撮ろうとするあまり、口角が下がって、怒っているように見えてしまう。
とくに男性の応募者に多く見られます。ご本人はいたって普通の表情のつもりでも、写真では厳しい印象になってしまうのです。
やることはひとつだけです。口角を、ほんの少し上げる。
歯を見せて笑う必要はありません。口の端を数ミリ上げるだけで、「話しかけやすそうな人だ」という印象に変わります。
実際、60歳以上の方でも、明るくはにかんだ表情の写真というだけで「会ってみたい」と思うことがあります。少し口角の上がった写真は、履歴書の中でもっとも手軽で、もっとも効く一手です。
応募先は「やったことがある仕事」から選ぶ
最後に、履歴書そのものではなく、応募先の選び方の話をさせてください。
年齢を重ねると、新しいことを覚えるスピードは、どうしても落ちます。これは誰にでも起きることです。
そして、もうひとつ起きやすいことがあります。失敗を恐れて、新しい業務を避けてしまうことです。ご本人に自覚がないまま、そうなっている方をよく見かけます。
だからこそ、応募先はこう選んでください。
- やったことがある仕事が多い職場を選ぶ。ここが土台になります
- そのうえで、学びたかったことが学べそうな環境かを見る
すべてが初めての職場に飛び込むと、慣れるまでに体力を使い果たしてしまいます。逆に、8割が知っている仕事で2割が新しいことなら、その2割は比較的楽に覚えられます。
得意なところから入って、できる範囲を広げていく。 これが、50代からの転職でいちばん続きやすい形です。
今日のチェックポイント
ご自分の履歴書を、この6つで確認してみてください。
- 「これはすぐにできます」と言い切れる仕事が、具体的に書いてあるか
- パソコンスキルを「何を、どこまで」まで書いたか
- 役職経験を書いたうえで、「今も自分で手を動かせる」ことを添えたか
- あと何年働けるかを、自分から書いたか
- 「後任が困らないように整える」など、職場をよくする視点を入れたか
- 写真の口角が下がっていないか
年齢は変えられません。でも、伝え方は今日から変えられます。
落ちた会社の数は、あなたの価値とは関係ありません。合う会社に当たるまで、履歴書を少しずつ良くしながら続けてください。それがいちばんの近道です。


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